淡々と、淡々と、…。
イギリス中の忘れられたものがたどり着く場所かもね、な子供時代の噂話でもあったノーフォークの海辺。最後、その海辺に張り巡らされた有刺鉄線と溜まったゴミたちを見つめて主人公のキャシーが自分に甘い空想を許すところがぐっ…😭ときたよ。子供時代、愛していたトミー、ノーフォークで2人で見つけた「私を離さないで」のカセットテープ。
分析して批評はできないな。なんだか全ページが退屈ないざこざや逡巡やらで満たされていてでも、最後それらが、とても、とても大切な愛おしい日々だったことを突きつけられた感じだ。キャシー、ルース、トミー。この3人の人生を追体験させられた。もうまざまざと。遺伝子工学の倫理の問題も孕んでいるけれど、それ以上に「人の一生」、掴めたかもしれない幸運、試せたかもしれないチャンス、それらを不意にしてしまっていた寂しさ、それらを許す達観。あぁ、これはブラッドベリの「刺青の男」の中の爆発事故を起こした宇宙飛行士同士の無線の会話から受ける印象にとても近い。怒ったり泣いたり笑ったり…でも、もう、今はただただ宇宙に放り出されて仲間と無線で会話できる時間ももう然程なくて、やがて酸素も尽きて死にゆく、そんな時に全てを赦す、そういう気持ちになったあの宇宙飛行士の感情だ。 とても深い余韻でずっとさざなみが立ってるよ。畳む
#本
#感想